離婚したいけれど、何から手を付けてよいかわからない、
話合いが出来ない夫と必要なことを決めるなんて無理、そんな理由で離婚をあきらめている人もいるのではないでしょうか。
そんな時には、弁護士の協力を得て離婚準備を進めることをお勧めします。
でも、弁護士ってお高いんでしょう?そんなまとまったお金は無いのに…。
と心配になる方も多いのではないでしょうか。
そんな方のために、法テラスという機関があります。
こちらの記事では、私の経験をもとに、法テラスを活用した離婚の進め方についてご紹介します。
体験談の方のプロフィール
プロフィール(女性)
- お住まい 岡山県
- 現在の年齢 35歳(2020年12月現在)
- 離婚時の年齢 33歳
- 結婚期間 2012年3月〜2018年12月まで
- 職業 離婚時→専業主婦、現在→社会福祉士
- 収入 月20万円(手取り)
- 離婚種別 公正証書を作成し協議離婚
- 離婚で争った内容
・養育費(子供2歳4歳、約15万円/月、22歳まで)
・財産分与(共通管理の預金折半、学資保険は監護親側に譲渡。社宅のため住宅関係はなし) - 最終的な弁護費用
・代理人をたてなかったので、弁護費用は0円。(法テラス制度利用は無料相談のみ)
・民間カウンセラーへの相談で12000円。
法テラスってどんな機関?
法テラスとは、法律に関する悩みを抱える方が、弁護士などの法的サービスを身近に感じ、利用しやすくするために設けられた機関です。
各都道府県に設置されており、
無料で法律相談を受けることができたり、相談した弁護士に依頼をする場合は、
相場よりもかなり安価で契約出来て、更に費用の分割支払いにも応じてくれます。
何かと費用の掛かる離婚準備。ありがたいサービスですよね。
どんな人が利用できるの?法テラスを利用するための条件を確認しよう
上記の支援を受けるには、いくつかの条件があります。
- 収入、資産が基準額より低いこと
- 制度の趣旨に合った相談内容であること
- 和解や調停などの結果、解決の見込みがあること
収入については、共働きで世帯収入が多かったり、旦那さんが高収入であれば対象にならないのではないか、と心配する方もいるのではないでしょうか。
離婚や夫婦関係の相談であれば、相談者自身の収入や資産で利用できるかどうかが決まります。
私が相談した時も、元夫の収入は一切確認されませんでした。
基準額は地域や条件により若干変わりますが、子どもがいない場合で月収182,000円(手取り)程度ですので、パート勤務や専業主婦の方であれば心配しなくてもよいのではないでしょうか。
正社員であっても、子供がおり引き取る予定であれば基準額が高くなるので、利用できる場合もありますよ。
法テラスを利用するメリットは?
① 無料相談の回数が多い。
法テラスを利用すると、同じ内容の相談について、1回30分、3回まで相談することが出来ます。
相談する弁護士は、毎回同じ方でもよいですし、変えることもできます。
相談の内容によっては、上手に利用すれば3回の相談で問題を解決して、お金をかけず終了することもありますよ。
弁護士への法律相談の相場は30分5,000円程度なので、助かりますね。
② 費用の面でも優遇が多い。
法テラスを通して弁護士に依頼すると、通常よりも安い費用で依頼することが出来ます。
協議離婚の場合の相場は12~22万円程度ですが、法テラスを利用すると83,000円~125,000円。
(相談の内容によりこれ以上になる場合もあります)この金額の差は大きいですよね。
また、多くの法律事務所では、着手金と言われる前払いの費用がかかりますが、
法テラスでは着手金を含む費用は後払いで、分割払いにすることが出来ます。
毎月の支払額は5000~10,000円程度で、利息もありません。
それでも生活が苦しい場合は、相談すれば支払いを猶予してもらえることもあります。
離婚後の一番の心配事はお金、という方も多いと思いますが、
法テラスは弁護士費用を払ったら離婚後の生活が成り立たない、なんて事にはならないよう配慮されています。
法テラスを利用するデメリットは?
良いことだらけの法テラスですが、注意しなければいけないこともあります。
① 担当する弁護士を選べない
法テラスに利用を申し込むと、法テラスが対応する弁護士を決めます。
その際、「離婚案件だから、離婚が得意な弁護士に…」といった個別の判断はせず、ランダムに割り当てられるようです。
それでも自分で選んだ弁護士に相談したい場合、弁護士事務所に「法テラス利用して相談したい」と依頼する方法もありますが、実現するのは、希望する弁護士が法テラスに登録している場合に限られます。
相性の良い弁護士に当たるかどうかは、運の要素が強いです。
3回の無料相談でそれぞれ別の弁護士に相談して、相性を確かめるとよいかもしれませんね。
② 審査に時間がかかる
無料法律相談の場合は、申込時に申告した収入に応じて利用できるかどうかが決まるため、スムーズに利用することが出来るのですが、弁護士に依頼する場合は審査にかけられます。
審査には2週間~1か月程度要するので、調停の期日が迫っている、今すぐ家を出て行けと言われている、など緊急性が高い状況の場合は利用が難しくなります。
③ 心理的なサポートは期待できない
これは一般的な法律事務所にも言えることですが、弁護士にできることは、基本的に法律に関する相談や支援に限られます。
そして、相談に使える時間も限られています。
悩みやつらい気持ちを聞いてほしい、離婚の問題にどう立ち向かっていこうか悩んでいる、という状況であれば、後述の女性相談所など、その時の状況にあった機関に相談してみるとよいですよ。
【体験談】どうやって利用する?無料法律相談利用の過程を紹介。
私の場合は調停や裁判にはならず、公正証書を作成し、協議離婚という形で離婚しています。
準備を進める中で、2度のタイミングで法テラスにお世話になり、1度目は後悔、2度目は成功したと思っています。
どのような流れで法テラスを利用したのか、おすすめの利用方法について私の体験を紹介したいと思います。
1度目の相談:離婚を考えはじめたころの相談【失敗談】
初めの相談は、離婚しようと決めたばかりの頃でした。
法テラスという機関のことは知っていたので、まずは法テラスに電話し、無料法律相談の申し込みをしました。
この時点で何に関する相談なのか、私自身の収入について聞かれたので、お仕事をされている場合は把握しておくとよいと思います。
予約はそれほど混みあっていなく、約1週間後の約束をできました。
相談当日は、法テラスに行くと申込書類を記入し、個室での相談となりました。
私は養育費に関して確認したかったので、夫の源泉徴収票のコピーをもっていきました。
担当の弁護士は、30代くらいの男性弁護士でした。
まずは離婚に至った経緯を説明し、どういったことを決めればよいか、養育費はどれくらいかということ等を尋ねましたが、得られた回答は既に知っている情報ばかりで少しガッカリしてしまいました。
決して担当弁護士さんが悪かったのではなく、私の利用方法が失敗だったなと思います。
なぜなら、まだ、聞きたいことややりたいことがはっきりしていなかったから。
弁護士は、慰謝料をとりたいとか、離婚を成立させたいといった目的が決まっていれば、それに向かって手伝いをしてくれますが、目的を決めるのは自分自身なのです。
私の相談では、担当弁護士さんも何を答えたらよいかわからなかったと思います。
2度目の相談の前に、離婚相談を利用しました
無料弁護士相談ではあまり収穫がなく、困ってしまった私は「離婚カウンセラー」と「女性相談所」を利用しました。
離婚カウンセラーは、民間のカウンセラーさんで、司法書士や心理士の方が業務の一つとして取り扱っている場合が多いです。
女性相談所は、法テラスと同じく各都道府県にある公的な機関です。
DV相談のイメージが強いかもしれませんが、離婚や夫婦関係など、女性の悩み全般に応じてくれます。
悩みやつらい気持ちを聞いてほしい、離婚の問題にどう立ち向かっていこうか悩んでいる、このような状況であれば、まずは離婚相談を扱うカウンセラーや女性相談所に相談して、自分の気持ちを整理してみるとよいかもしれません。
- 離婚という選択は合っているのか
- 離婚に向けてどんな手順で準備すればいいのか
を相談し、公正証書を作成してから離婚した方がよいと教えてもらいました。
公正証書に必要な項目や、弁護士に相談するタイミングもうかがい、その場で2回目の無料法律相談の予約をしました。
前回はどうしたらよいかわからなかった法律相談ですが、カウンセラーや支援員の力も借りて、公正証書と、弁護士に相談することの準備をすることが出来ました。
2度目の相談:公正証書案の内容を確認してもらいました
2度目の相談内容は、自分で作成した公正証書案の内容を確認してもらい、アドバイスをもらう、というものでした。
女性相談所で、すでに必要な内容は聞いていましたが、抜けていたり、法律的に問題がある内容が含まれないかを弁護士に相談した方がよいとのことでした。
相談の際は、案をメモした資料と、通帳のコピーや給与明細などの経済事情がわかる資料を持参して内容を一つ一つ確認してもらいました。
また、財産分与の中でも扱いにくい株などの分け方や、年金分割の考え方についても教えてもらいました。年金分割に関しては、勘違いがあったのでここで確認して本当に良かったです。
2度目の相談では、公正証書案や聞きたいことをあらかじめ紙に書き、弁護士に読んでもらうことから相談が始まったので、時間いっぱい相談に利用できたな、と思います。相談の際は、相談内容を文書化しておくことが成功の秘訣だと思います。
相談後は、公正証書作成、離婚成立と無事進めることが出来ました。
弁護士の助言があったので、元夫との交渉も自信をもって進めることが出来たと思います。
無料法律相談だけでは対応が難しいケース
公正証書を作成する場合、夫と内容を打ち合わせたり、最終的には一緒に出掛け公正証書作成の手続きをしなければいけません。
私の場合は、元夫がこちらの指示に従い動いてくれたので、相談だけで済ませることが出来ました。でも正直、打ち合わせの態度は高圧的で、公正証書作成の際も、公証人に対して態度が悪く怖いやら恥ずかしいやら…とストレスは大きいものでした。
夫の協力を得られない場合や、モラハラなどで直接交渉したり顔を合わせることが難しい場合は、弁護士に代理人を依頼した方がよいと思います。
公正証書の作成を拒否され、離婚調停をする場合も、弁護士がついていた方が話が有利に進む事もあるため、依頼した方が心強いですね。
代理人をお願いする場合も、法テラスの制度を利用することで費用を抑えられますよ。
ポイント
1回につき30分、計3回まで無料で相談できるだけを使ってみるのも1つの手です!
ただしその際は、限られた時間の中で有効な相談をするためにも、自分の要望などをまとめておくことは必須ですね!!
まとめ
今回のまとめ
- 法テラス制度とは?
・弁護士などの法的サービスをより身近に利用しやすくするために設けられた制度、機関 - 法テラス制度の利用条件は?
1、収入や資産が設定された基準額より少ないこと
2、制度にあった相談内容であること(離婚、借金、相続)
3、和解、調停による解決の見込み上がるもの
※法テラス制度の基本情報に関してはこちらをクリック - 法テラス制度のメリットは?
・弁護士による無料相談が1回30分、計3回まで利用できる
・弁護費用が一般に比べ優遇されて利用できる - 法テラス制度のデメリットは?
・担当弁護士を自ら選べない(無料相談所による紹介は可能)
・申請に時間がかかる(2週間〜1ヶ月)
・心身的なサポートまではしてくれない
参考